愛する人に振り向いてもらいたいがために、身の丈以上の理想を抱き創作料理に挑んだキョーコさんだったが、終わってみればその料理というのは、至って普通の煮込みスープとなっていた。 中学三年生の彼女にとっては、できることの精一杯をやったつもりだった。 数十年後 ...
カテゴリ:実録、廃屋に残された少女の日記'78
「少女とモンスター兄弟の秘密」 実録、廃屋に残された少女の日記.22
中学卒業後の進路のことで家族と揉めでもしたのか、精神のタガが外れたキョーコさんは深夜にひとり、「自由が欲しい!自分は人間、自分でしかない!」と核心的な部分はぼやかしながらも、面と向かって言えない相手に、自分の自由な領域内である日記の中で、何度も激しく執 ...
「覆された彼女の日記帳」 実録、廃屋に残された少女の日記.23
緑色で表紙が『わんころべえ』の簡易日記帳を最後まで書き終えたキョーコさん。満を持して、同世代の女の子達が集うお店『ファンシー曽我』にて、少ないお小遣いを切り崩して購入をした、本格的日記帳にペンを走らせる予定だったが・・・ 廃屋より、足掛け二年をかけて僕 ...
「彼の大逆転と死亡事故」 実録、廃屋に残された少女の日記.24
運動会が雨で延期になったと思ったら、振替日がなんとその翌日。つまり平日。当然ながら観客は半数以下に減ってしまい、せっかくの運動会なのに親類の応援も少なく、張り合いもなくやる気がいまいち起こらなかった、キョーコさん。おまけに計画停電も同時刻に予定されてい ...
「少女が拡散、死んだ子供の噂」 実録、廃屋に残された少女の日記.25
リレーのアンカーだった金山君による幸運な逆転劇もありつつ、無事終了をした陸上大会から数日後。 東京の中学校なら一年を通して行う様々なスポーツ行事を、キョーコさんの住む土地では雪のこともあり、屋外活動が可能な約半年の間に押し込んで開催をするらしく、陸上大 ...
「彼女が猛勉強をする理由」 実録、廃屋に残された少女の日記.26
キョーコさんにとって輝くように眩しい金山君の存在。学校のスターでもある彼にも、決して自からは人に話すことのない影の部分を持ち合わせていた。悩み多き少女にしてみれば、遠い存在で完璧にも思えた彼がかえって身近にも感じた。しかも、金山母の営む駅前付近での商売 ...
「禁断のノートを盗み見る彼」 実録、廃屋に残された少女の日記.27
テストでは全教科を通してあまり思わしくない点数を取得してしまい、『おしまいじゃー』と悲観的にもなってみせたキョーコさん。 「この夏が肝心だ」と危機感を露わにし、気を引き締め直して毎日四時間の勉強を自分に課す。 てっきり金山君が進む可能性が強い高校に自分 ...
「恐ろしい口封じ」 実録、廃屋に残された少女の日記.28
熱い想いをしたためたノートを、ゴシップ好きの”均”にのぞかれてしまったばかりか、余白に『 だいじょうぶか?』とまで書かれてしまったキョーコさん。 自他共に認める金山&佳子の”パーフェクトカップル”が放つ眩しい光の影の下、密かにキョーコさんは純真無垢な ...
「少女が夢を語る場所」 実録、廃屋に残された少女の日記.29
金山君の”まあまあ”の顔(彼女曰く)。運動神経。決める時に決めてしまう運の強さ。立ち振舞。それらの全てが愛しいと恋慕の情を日ごと募らせていくキョーコさん。 たかが彼が左利きというだけでも「カッコイイ!」と腰砕けになり褒めそやす。 もしかしたら、あの大ヒ ...
「浸水と姉の実像」 実録、廃屋に残された少女の日記.30
運動会のリレーで大逆転劇を演じてみせた金山君。なのに、あの時の勇ましさはどこへやら。日頃から熱い視線をひた隠しに送り続けるキョーコさんでさえ、彼の水泳欠席には疑惑の眼差しを向ける。「なぜ 入 らない の かな 」 その理由は薄々感づいているようでもあ ...