生粋の廃墟マニアといったわけでもない、その手の情報にさほど精通しているでもない僕が、この廃村を知ることになったきっかけは、二年ぐらい前のあるネット記事を見たことによってであった。 ぼんやりとYahooニュースを眺めていると、トップ記事に「都心から行ける廃村~ ...
カテゴリ:廃村に行ったら取り壊し直前だった件
「発掘、廃村少年の小説」廃村に行ったら取り壊し直前だった件.2
都内から唯一、日帰りで行けるという、廃村に早朝到着してみたら、既に廃村集落の一部の取り壊しが始まっていた。 大規模一斉取り壊し、ほんの一歩手前といったところであった。 工事車両が数台あるが、まだ業者が来ていないのか、それとも、作業は一定期間中断中である ...
「廃村愛国少年と、天皇陛下」廃村に行ったら取り壊し直前だった件.3
横須賀市田浦の住宅街のはずれ、左折をすると畑と、田舎のあぜ道のような一本の道。やがてJRの踏切が見えてくる。線路を渡ると、そこはもう、息の詰まるような、奥に吸い込まれて行きそうな、あきらかに今来た景色と違う重い密度の空間が広がっている。これは何かが違うな ...
「育まれた少年の嗜虐性」廃村に行ったら取り壊し直前だった件.4
多くのエロ本を隠し持っていた少年の部屋や応接間はそんなに崩れてはいなかった。 しかし、廊下を行った先の台所と、台所に隣接する続きの数部屋は、屋根の崩落をきっかけにして、情け容赦ない被害を被っていた。 首を傾げる。 ひとつ屋根の下、崩壊の度合いにここまで ...
「廃村少年との永遠の別れ」廃村に行ったら取り壊し直前だった件.5
宗典君が毎週のように買い求めていた、エロ本ほど過激ではない内容の、青年用風俗雑誌といった位置づけの「平凡パンチ」が見つかった。 1980年9月22日と6月16日発売号。 水着の股間部分の切れ込み角度がドリルかっていうぐらいにとても鋭角。これから1990年代のバブル期 ...
「アドベンチャー青年の残痕」廃村に行ったら取り壊し直前だった件.6
宗典君の廃屋を出て数歩進むと、僕の眼前にひろがっていたのは、田浦廃村の廃屋という廃屋が根こそぎ建設機械によってなぎ倒されて、形を留めないほど粘着質なまでに叩きのめされ、やりたてホヤホヤであるかのように、舞い踊る砂塵がみえるようなくしゃみの一つでも出そう ...
「山間に眠る廃屋」廃村に行ったら取り壊し直前だった件.7
予想以上に進行していた、田浦廃村の解体作業。 空き家という空き家の死屍累々と折り重なる廃材の上を、器用にバランスを保ちながら、果敢に前へ進んで行った。 振り返ると、口をあんぐり開けたまま僕を放心状態で見送る宗典邸が、何か言いたげであった。『カイラスさん ...
「平成最後の昭和大探索」廃村に行ったら取り壊し直前だった件.8
25番と割り振られた住居に入ってみる。 畳敷きの床は沈み込んで土の堆肥になっていそうな塩梅。そこから芽吹いた植物の蔓が、さぁ、これから床面を覆おうか、という前にここは取り崩されてしまう運命にあるのだろう。もうそれは目視できるほどに背後まで迫って来ている。 ...
「山の老夫婦邸」廃村に行ったら取り壊し直前だった件.9
敷地背後に控える山の中にも住宅地を造成していた田浦廃村。 家の前の坂は思いのほか傾斜がきつくて少し登っただけで息切れがした。持参したペットボトル入のミネラルウォーターを口に含んで喉を潤す。 かつての住人はこれが毎日だったので、さぞご苦労をされたことでし ...
「ほろ酔い廃屋夫婦風呂」廃村に行ったら取り壊し直前だった件.10
台所の次はお風呂場に移動した。飛ばそうかとも思ったが、浴槽の蓋を捲れば何か面白い物が見られるんじゃないかと、貪欲な僕は、ここでも見逃すことは出来なかった。 壁を突き破って木の枝が浴槽に絡まりかけている。 浴槽の蓋は開いたままで、特にネタになりそうな物は ...