痛みが激しく装甲が脆弱になっていそうなことから各部屋に入れそうなので目をつけてみた今回の物件。 ここについて書かれたものを二三目を通してみたがどれも十年前ぐらいのもので現状を反映しているとは言いにくそうだ。殊に当時でさえ少なく見えた残留物などはほとんど ...
カテゴリ:世捨て人をかくまう、廃墟アパート
「暗澹たる部屋」世捨て人をかくまう、廃墟アパート.2
鉄骨を蝕む錆。経年劣化で砕けゆくコンクリート。行き交う近所の住人は、腫れ物に触るか汚物を避けるがごとく、あっちの方に視線をやり、存在に蓋をしようとしているのか。生と死の間を漂流する二棟続きの廃アパート 。 長期に渡って放置されているものばかりと思っ ...
「世捨人に逃げられた、探索者」世捨て人をかくまう、廃墟アパート.3
二階の階段を僕が下り始めると、ガクッ、ガタッ、ギギギ、という音が階下から響いてきた。 矢継ぎ早に、摺り足気味にコンクリートの通路を歩く擦過音がしたかと思うと、僕の視界を一人の男が右から左に横切ったのだ。 紛れもなく、彼は一階の何れかの部屋にいたに違いな ...