仄暗いお散歩

廃墟、廃屋、空き家、所有者不明土地、残留物

カテゴリ:廃屋

 今、僕がいるのは「会堂」と呼ばれる場所。 正面から入って左に「霊前」。中央に「神前」。右に「お結界」がある。 お結界のさらに右には障子戸が立っていた。 障子紙は破けていて中が見渡せた。 中は住居のようにも見えるが、損壊が激しくて判別は不能であった。 障 ...





 北の最果てにて、アイドルとの恋愛に日夜、夢膨らませていた、恋多き少年の、燃えたぎるような心の内を可視化させたような、甘く切ない壁が、僕と対峙する。 ベッドの枕元の壁である。 アーティスト化する前の、アイドルの仕草がぎこちない「中森明菜」。同じ雑誌を買っ ...

 想いを重ねるほど胸掻きむしられるほどに愛しい、雲の上の天使のような憧れのスーパーアイドル「南野陽子」と、眠りに落ちるまでのひと時、そして、夢空間でさえ、一緒にいられたらどんなに幸せかと、決して裕福でなかっただろう家のなけなしのお小遣いから工面した僅かば ...

 途切れることのない、隣家からの薪割りの音が、なぜか懐かしく感じられる。 久しぶりに聞いたような、その安定した等間隔の脈打つような手慣れた力のこもった熟練者による、斧を寡黙に振り下ろす、鼓膜を弾くように響く、渇いた、カッツシーンという、破砕音    これ ...

 廃屋の階段を二階へと上がって行く。階段を一歩一歩踏みしめる際に片方の足にのしかかる自重が、想像以上に階段の踏み板を撓ませ、それが壁に伝って小刻みに壁表面を震わせて、少し遅れてから家全体を揺り動かすような、酔いのような揺れを生じさせた。 その場でじっとす ...

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