仄暗いお散歩

廃墟、廃屋、空き家、所有者不明土地、残留物

カテゴリ:廃墟

 多くの人が目もくれない、正規ルートから外れた山道を行ってみれば、人とは違う何かとんでもないものが見られるかも、という期待と誘惑に駆り立てられて、僕は急峻な斜面を登ることを選んだ。 すでに何度かそれをやり、見えたのは断崖の下にひろがる海ぐらいのものであっ ...





 雑然とした部屋には、和香子ちゃんのような少女の部屋に多くみられる、子供用のピアノがご多分に漏れずここお宿の子供部屋にも置いてあった。 宿の仕事につきっきりで、ろくに子供に手をかけてやることができず、これならひとりで遊べるだろうし、情操教育にも良かろうと ...

 長い歳月をかけて寄り集まった木やら草のくずに土埃が入り込み、あたかも土が繋ぎで繊維くずを結着させたかのように、昔の喫茶店のドアの前にあったタワシでできた玄関マットの、長期間汚れを落としていないやつのようなのと一緒に残されていた、和歌子ちゃん宛の、便箋を ...

 単純に真ん中へんから一枚の板で区切ってしまうと、雑誌やワインの瓶などは置けなくなる。そこで、二枚の棚板を段違いに組み合わせることで、見た目を損うどころか風流さを加味したうえで、一定の高さを保つスペースを確保することができる。「違い棚」と呼ばれる、飾り棚 ...

 一階の食堂跡の床には、めいじや食堂長女の和子さんの物と思われる学生カバンがぞんざいに放おってあった。 二度と帰らない青春時代の眩しい記憶が詰まったかけがえのない学生カバン。 本来なら二階の和子さんの部屋に然るべくしてあったはずのものだろう。 侵入者が遊 ...

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