仄暗いお散歩

廃墟 廃屋 事件現場 カイラスチャンネル(You Tube)

カテゴリ:廃墟

 物置の扉を開けてみた。 居住者が居なくなってそのままの姿なのだろう。常用されていたと思われる”魔法瓶”が次の出番を今か今かと待ち構えているかのように食い気味でぶら下がっていた。 水筒というより、魔法瓶。内層がガラスで出来ていて、遠足に持っていこうものな ...





 教室後方に飾ってある顔のオブジェに近寄ってみる。 プールで溺れかかって助けを求めて必死の形相で水面から顔を出している少年達の苦痛に歪んだ顔にしか見えないが、おそらく、歌を歌っている時の顔なのだろう。  極端にデフォルメ化された猫か。 時過ぎて、もぎられ ...

 おもむろに部屋に入ってみる。 天井部分が抜けて空が見えて隙間から日が差し込んでいる。 壁が眩しく照らし出されて幻影のように浮かび上がって神々しくも見えた。 しばらくその場で身動きが出来ず、立ちすくんだままかすみがかったような壁を凝視し続けていた、僕   ...

 エントランスホール脇の残留物の山の中には、カズ少年の夢を言葉にしたであろう『サッカーノート』も一緒に置かれていた。 Jリーガーを皮切りにして、やがてはプレミアリーグに所属して現地の人も驚きの大活躍、そして、日本代表のユニフォームを着てワールドカップに出場 ...

 陶器製らしき、潰れた饅頭みたいな物に被さるちょっと重量感のある蓋を開けてやると、こんもりと入った灰が顔を覗かせた。 これが火鉢というもののようだ。 時代劇でしか見たことがなく、日常の使用品として実際に部屋に置かれているのを直に見るのは初めてのことだ。  ...

 かつての、子供と鳥の楽園、行川アイランド園内の森のどこかに存在する、幻のバンガロー。 口を開けて待っていてくれたはいいが、入り口に積み重なっていたのは、心の退廃を象徴するかのような、夥しい数のエロ本の山。 廃墟化してから、数十年。 ここで、誰に、何があ ...

 妻のお出かけ用のとっておきの靴だろうか。 あまり使用された形跡はない。 廃油臭いプロレタリアート臭の染み込んだこの工場兼自宅内ではあまりにも異質な眩い光沢を放ち続けていた。 日曜日には、塗料だらけの作業服を脱いで、この靴を履いて、新宿の伊勢丹にでも出か ...

 和歌子ちゃんが受験勉強を頑張った二階の子供部屋。その部屋からはクラスの誰よりも早く初雪を見ることが出来た。 あまりにも時期が早かったため、クラスの人達に『まさか・・・』と疑われるぐらいであり、大自然と背中合わせで暮らす、過酷な自然環境で生きる彼女の生活の一 ...

 居間から台所に目を移してみた。 炬燵が置いてある。 家主か、或いはご家族が家を去ったのは、冬のことであろう。 堕落しきっていた場合は、万年床ならぬ万年炬燵である可能性も捨てきれない。 この光景を見て、僕は咄嗟にここが独り身の老人が寂しく住んでいた家であ ...

 図書室の床にうず高く積み上げられていた学研の「学習まんが」シリーズ。 薄暗くてジメジメと湿気のある廃校でいい大人の男がたったひとり、あまりにも懐かしくてまるで尊いものを崇めるように正座をしてハハァと神仏を拝むかのように思わず抱きしめかねない衝動を自制し ...

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