居間から台所に目を移してみた。 炬燵が置いてある。 家主か、或いはご家族が家を去ったのは、冬のことであろう。 堕落しきっていた場合は、万年床ならぬ万年炬燵である可能性も捨てきれない。 この光景を見て、僕は咄嗟にここが独り身の老人が寂しく住んでいた家であ ...
カテゴリ:廃墟
「シュールレアリズムの教室」ごっそり残された、廃墟小学校.3
図書室の床にうず高く積み上げられていた学研の「学習まんが」シリーズ。 薄暗くてジメジメと湿気のある廃校でいい大人の男がたったひとり、あまりにも懐かしくてまるで尊いものを崇めるように正座をしてハハァと神仏を拝むかのように思わず抱きしめかねない衝動を自制し ...
「壁一枚向こうのカタストロフィ」実はまだあった府中米軍基地跡に行って来たよ!.5
棟から棟へと脱兎の如く移動した、僕。 近くには有閑マダムの声も弾むテニスコート場がある。ちょうど見切れるのだ。 まさか連絡はしないだろうけど、誰もが一人一台スマホを持つ今の時代、用心するに越したことはない。 前も言及したけれど、ここのテニス場もお婆さん ...
「カズ少年の大志」解禁、カズ少年の見守る峠の廃墟ドライブイン.10
あのカズ少年の小学校時代の貴重な卒業証書をエントランスホール脇で発見。 順調にいっていれば社会人一年生、または、社会で相応の経験を積んで社会人としての立ち位置がようやく掴めてきた頃だろうか。 啓太君、お元気ですか。カイラスです。 Jリーグにその名が無いの ...
「湧き出る、ご住職の過去」廃寺参拝に行って来たよ!.8
物言わぬ、蓄音機。 照らすことのない、電灯。 Tシャツのほつれさえ縫えない、ミシン。 家族の途絶えた廃屋の底で、今も尚、語り続ける、性風俗雑誌。 言葉の持つ無尽蔵の力強さに、深く頷き、頁を掴む指先を強張らせる、僕 非処女はサイズ不足の不満を訴える ...
「森を漂流する幻の廃バンガロー」落日の廃墟、行川アイランドに行って来たよ!.10
廃墟化した「行川アイランド」の奥深い森のどこかを今もお客を求めて彷徨っているという、これが噂の廃バンガロー。 倒木に寄りかかられ、生い茂る草に飲み込まれようかとしているこの廃バンガローの使用用途は一体、何であったのか、ちょっと想像がつかない。 客の宿泊 ...
「永遠のデビュース邸」空中回廊のある、廃墟ペンション.13
階段を登って右側、ウッドテラスのある方の窓。 まるで訪問者をこっそりと観察するために開かれているかのようなカーテンの不自然で中途半端な隙間が気になると言えば気になって仕方がなかった。 電気のソケット類が束ねられている。 屋敷全体が通電していないことをこ ...
「mineoと白マフラーの少女」廃墟、家族崩壊のお宿.19
お宿自宅のトイレ。 和式便器内はスプレー噴射のような強烈な夥しい飛沫により斑に染め抜かれていた。あまりにも酷い有様であったので、画像に修正を加えないと見るに耐えなかったのだ。 ご主人が最後の日、旅立つ間際に急激に催され、慌ただしくやられた結果なのであろ ...
「天を仰いだ、探索者」一家蒸発の絶望工場.4
家の電気が遮断されていても、固定電話は繋がる可能性がある。その先のNTTの局舎に問題が無い場合である。 まさかとは思ったが、誰もいない廃墟で男がたったひとり、埃を纏った黒電話の受話器を ツーという音がしたらかえって怖いな、などと、胸縮ませられる思いでこ ...
「数十年前の真実に膝震わす、探索者」ごっそり残された、廃墟小学校.2
校舎から便所部分が切り裂かれでもしたかのように崩れて落ちて、裂け目が生じていたので、そこから体を蟹のようにして僅かな隙間より横歩きで侵入を試み、見事成功を果たす。 目の前の家庭科室に入ってみた。 家庭科の時間。 懐かしい記憶には違いないはずだが、何をや ...