夜逃げ時の慌ただしさが窺える、開きっぱなしのタンスの引き出しの角部分に引っ掛けてあった、昨日の晩の脱ぎたてであるかのようなせわしさの籠もる佇まい、荒々しい皺を留めたまま、ひと目でわかった、ご婦人用のくたびれた生活使用感のあるよれよれレース下着。 人生の ...
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「旭山の一番輝いた日」解禁、カズ少年の見守る峠の廃墟ドライブイン.8
二階の廊下の突き当り、トイレ横の階段を降りてゆく 食事をするでもなく、ちゃっかり、トイレでウンコだけしていってやろうという輩が続出したことに業を煮やし、あのような憎悪丸出しの張り紙を断腸の思いで貼り出した、お祖父様。 灯火が消える前の最後の一閃 ...
「リアリスト峰尾のしがない夢」廃墟、家族崩壊のお宿.17
和歌子部屋には交換日記だけではなく、日々の生活を記述した彼女個人としての「日記」も実は残されていた。 今回改めて表紙を眺めてみると、探索時には目にも入らなかった、オリジナルに加筆されたであろうある差異に気づく。擬人化されたウサギの周囲に三角や四角の図形 ...
「卑猥なコレクション」湖畔にそそり立つ、巨大廃墟ラブホテルへ.8
六階の防火扉を開けて、客室のある廊下へ。 防火扉のチリ部分には小さなシールが貼ってあった。お察しの通り、ただのシールじゃない。可動部の扉と壁枠を繋ぎ合わせるようにして。防火扉を開けると、そのシールが剥がれるかして、人の出入りをチェック出来るという仕掛け ...
「伝説を語り継ぐ、探索者」解禁、カズ少年の見守る峠の廃墟ドライブイン.7
二階廊下の突き当り、トイレ横のドアからテラスに出てみる。 斑に群生するスナゴケの敷物を踏んで、前へ、前へと。振動が薄い鉄板を伝って階下で反響音となって返ってくる。 数歩歩くと苔についた露がカーゴパンツの裾をしっとりと濡らしていた。帰途もバイクなので気に ...
「産みたてのような部屋」湖畔にそそり立つ、巨大廃墟ラブホテルへ.6
非常階段を登りに登って五階に到着。防火扉前の踊り場。息を殺して様子を窺っている動かぬ巨人のその体内に潜行しているようなExplorer(エクスプローラー)気取りの僕。コンバットブーツのソールと床の塩ビタイルの擦れ合う耳障りな音だけが館内の上下一階分程度に響き渡 ...
「ジェイソン村の真実」レイクサイドのジェイソン村.3
存在しないと思われていたジェイソン村の「村」部分は、どうやら、実在していたようなのであった。 落書きなどはネットが普及する前に描かれた、相当古い内容のものであった。 途中の道が大分手前で通行止めにされていたり、山道の入口が鉄の壁で塞がれたことにより、訪 ...
「無慈悲な館内」湖畔にそそり立つ、巨大廃墟ラブホテルへ.5
階段を登る際のブーツの音が、非常階段限定で響き渡る。反響音を抑えようにも、ソールが加水分解気味なり、硬質プラスチック化していることもあって、緩やかに足を着地させて音を出さないようにするのにも限界というものがある。 自分が響かせる音に動揺はするが顔には出 ...
「残されていた、お宿少女の交換日記」廃墟、家族崩壊のお宿.12
雑然とした部屋には、和香子ちゃんのような少女の部屋に多くみられる、子供用のピアノがご多分に漏れずここお宿の子供部屋にも置いてあった。 宿の仕事につきっきりで、ろくに子供に手をかけてやることができず、これならひとりで遊べるだろうし、情操教育にも良かろうと ...
「視界ゼロの館内」湖畔にそそり立つ、巨大廃墟ラブホテルへ.4
数ヶ月前に拒絶され、いい大人が二人、尻尾を巻くように逃げ帰ったという、苦い思い出の残る「ホテル ローヤル」。 フワフワと雲上を跳ねて飛び歩くような体感のあった後、スッポリと嵌り、そこから一生抜けられないのではという責苦にしばらくの間、まるで自分自身が絵画 ...